×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
僕を呼ぶ君の声。
僕に向ける君の笑顔。
僕に触れる君の指。
僕に―――。
いつからだろう。
君を見ているとイラついてきたのは。
僕達が付き合ったのは、もう一年前に遡(さかのぼ)る。
今思い出すと、あの頃はとても輝いて見える。
確か、二人で前々から楽しみにしていたデートの日。
その日に、急な用事が入ったんだ。二人にとってとても大切な日に。
たいした用事じゃないけど、頼んできた相手が厄介だった。
だから、僕は君に「ごめん」って謝った。ほとんどの人は怒るだろう。
けれど君は、「そう、しかたがないね」っと言って笑った。
最初は良かった。君が僕を思ってくれていると感じられたから。
でも、何回か僕が約束を破っても、僕が他の女と一緒にいても、君はまた笑うんだ。
僕を問い詰めたりも、怒りを露(あらわ)にしない。その度に、僕の何かが音を立て軋(きし)んでいく。
だから、わざと君との約束を破るようになった。
そして、わざと君の目に付くように他の女と一緒にいるところを見せ付けてみる。
それでも、君は何にも聞かないんだね。
また、その綺麗過ぎる笑顔をするんだ。
「ねぇ、僕達別れようよ」
その喫茶店はお洒落で明るい造りになっている。僕の口から出た話題とは似つかない。
紅茶を飲んでいた君の動きが一瞬止まる。
そして、ぎこちない動きでカップを置く。
「どうして……?」
「飽きた。あと、つまらない。それだけ」
僕はそれ以上話すこともないから、席を立った。会計はもう済んでいる。
そのまま、僕は出口にむかう。一度も、君を振り返らずに。
相変わらず店内は、陽気な音楽が流れている。
不意に、後ろに何か気配を感じた。
だから僕は振り返った。そこには、君が立っていた。
君は右手に、カッターを握っていた。
僕はそんな事よりも君の右手首に目が離せなかった。
袖から覗く右手首には、赤い線が数本走っていた。
そういえば、君はいつも袖の長い服を着ていた。
君はカッターを僕の首に刺した。
周りの悲鳴や雑音がうるさい。
崩れ落ちる僕の瞳には、瞳に涙を溜めて、今まで見た事がない怒った顔をした君がいる。
別人のような君は僕を見下ろしている。僕はそんな君を愛しく思って微笑んだ。
初めて、君の人間らしい顔を見れた……。
僕に向ける君の笑顔。
僕に触れる君の指。
僕に―――。
いつからだろう。
君を見ているとイラついてきたのは。
僕達が付き合ったのは、もう一年前に遡(さかのぼ)る。
今思い出すと、あの頃はとても輝いて見える。
確か、二人で前々から楽しみにしていたデートの日。
その日に、急な用事が入ったんだ。二人にとってとても大切な日に。
たいした用事じゃないけど、頼んできた相手が厄介だった。
だから、僕は君に「ごめん」って謝った。ほとんどの人は怒るだろう。
けれど君は、「そう、しかたがないね」っと言って笑った。
最初は良かった。君が僕を思ってくれていると感じられたから。
でも、何回か僕が約束を破っても、僕が他の女と一緒にいても、君はまた笑うんだ。
僕を問い詰めたりも、怒りを露(あらわ)にしない。その度に、僕の何かが音を立て軋(きし)んでいく。
だから、わざと君との約束を破るようになった。
そして、わざと君の目に付くように他の女と一緒にいるところを見せ付けてみる。
それでも、君は何にも聞かないんだね。
また、その綺麗過ぎる笑顔をするんだ。
「ねぇ、僕達別れようよ」
その喫茶店はお洒落で明るい造りになっている。僕の口から出た話題とは似つかない。
紅茶を飲んでいた君の動きが一瞬止まる。
そして、ぎこちない動きでカップを置く。
「どうして……?」
「飽きた。あと、つまらない。それだけ」
僕はそれ以上話すこともないから、席を立った。会計はもう済んでいる。
そのまま、僕は出口にむかう。一度も、君を振り返らずに。
相変わらず店内は、陽気な音楽が流れている。
不意に、後ろに何か気配を感じた。
だから僕は振り返った。そこには、君が立っていた。
君は右手に、カッターを握っていた。
僕はそんな事よりも君の右手首に目が離せなかった。
袖から覗く右手首には、赤い線が数本走っていた。
そういえば、君はいつも袖の長い服を着ていた。
君はカッターを僕の首に刺した。
周りの悲鳴や雑音がうるさい。
崩れ落ちる僕の瞳には、瞳に涙を溜めて、今まで見た事がない怒った顔をした君がいる。
別人のような君は僕を見下ろしている。僕はそんな君を愛しく思って微笑んだ。
初めて、君の人間らしい顔を見れた……。
PR
人々は神を愛していた。
朝、目が覚めると人々は神への祈りをささげ、食事のときは必ず、神へ感謝の祈りをささげ、床に就くときにも神への祈りをささげた。
そして、祈りをささげ終わると胸に十字を切った。人々は必ず十字架を持っていた。
ある小さな村があった。この村の人々も神を愛し、毎日欠かさず祈りをささげていた。
そんな村に、旅人が来た。
黒いローブを羽織った旅人はとても美しかった。
長い美しい黄金の髪に透けるような白い肌。
背も高く、痩身で男か女か見分けがつかないほど中性的で整った顔をしていた。
もし、天使が姿を現したならば、このような美しい姿をしているのだろうと村人は思った。
旅人はぞっとするほどの赤い瞳をしていた。
「一晩泊まらしてください」
旅人の申し出に、村人は考え込んだ。なぜならば、今、原因不明の疫病が流行っているからだ。
東にある街は、その疫病で壊滅したと聞く。旅人はもしかしたら、疫病にかかっているのかもしれない。
「あんた、どこから来たんだい?」
「東の街から来ました」
村長の問いに旅人は平然と答えた。その答えに、村人がざわめいた。
「ならば、せめて水を一杯下さい。私はそれで立ち去りましょう」
旅人は村に泊まることは無理だと判断したのか、そう申し出た。村人もそれで承諾した。
「自分で水を汲みますから、井戸の場所を教えて下さい」
村長は旅人を井戸まで案内した。井戸は村の一番外れにあった。
村には井戸が一つしかなく、村の水は全てここの井戸から汲んでいた。
「ありがとうございます。私一人で大丈夫ですので」
「あなたに神の祝福を」
村長は旅人のために祈りをささげた。
旅人は丁寧に村長に頭を下げた。村長は来た道を引き返した。
旅人は井戸を覗き込んだ。水がなみなみと溢れている。旅人はそこに唾を吐いた。
井戸の水が一瞬、黒く光った。
「こんにちわ、旅人さん」
旅人は声のした方を振り返った。そこには、少女が一人、笑顔を浮かべ立っていた。
「こんにちわ、お嬢さん。何か用でも?」
旅人もにっこりと微笑んだ。旅人の笑顔は今まで見たどんなものよりも美しかった。
「旅人さんは色んな街に行くから色々知っているのでしょう?」
「一応ね」
旅人は腰を下ろし、少女の目線と自分の目線を合わせた。
少女の瞳は純粋な輝きを放っている。
「神様はどこに住んでいるのか、わかる?」
少女のあどけない質問に、旅人は笑いそうになった。
「神様は人間よりも高いところにいて、いつも人間を見下ろしているんだよ」
「神様に願い事をすれば叶うのかな?」
「神様に選ばれた人間の願い事しか叶えないよ」
「私もお願いすれば叶えてくれるかな?」
旅人は沈黙し、俯いた。
さっきまで優しく答えてくれた旅人が急に黙り込むので少女は不安になった。
「どうしたの、旅人さん?」
旅人は立ち上がり、右手で少女の首に触れた。びくっと体を震わす少女。
旅人は微笑んだ。とても優しく、残酷な笑みだった。
「無理だよ。だって君はここで終わるんだから」
言い終わると同時に、旅人は少女の首を力強く掴んだ。
少女は悲鳴を上げる間もなく、首の骨が折れた。
旅人は少女を地面に無造作に捨てた。
そして、村を出た。笑いながら。
数日後、村は疫病で壊滅した。
朝、目が覚めると人々は神への祈りをささげ、食事のときは必ず、神へ感謝の祈りをささげ、床に就くときにも神への祈りをささげた。
そして、祈りをささげ終わると胸に十字を切った。人々は必ず十字架を持っていた。
ある小さな村があった。この村の人々も神を愛し、毎日欠かさず祈りをささげていた。
そんな村に、旅人が来た。
黒いローブを羽織った旅人はとても美しかった。
長い美しい黄金の髪に透けるような白い肌。
背も高く、痩身で男か女か見分けがつかないほど中性的で整った顔をしていた。
もし、天使が姿を現したならば、このような美しい姿をしているのだろうと村人は思った。
旅人はぞっとするほどの赤い瞳をしていた。
「一晩泊まらしてください」
旅人の申し出に、村人は考え込んだ。なぜならば、今、原因不明の疫病が流行っているからだ。
東にある街は、その疫病で壊滅したと聞く。旅人はもしかしたら、疫病にかかっているのかもしれない。
「あんた、どこから来たんだい?」
「東の街から来ました」
村長の問いに旅人は平然と答えた。その答えに、村人がざわめいた。
「ならば、せめて水を一杯下さい。私はそれで立ち去りましょう」
旅人は村に泊まることは無理だと判断したのか、そう申し出た。村人もそれで承諾した。
「自分で水を汲みますから、井戸の場所を教えて下さい」
村長は旅人を井戸まで案内した。井戸は村の一番外れにあった。
村には井戸が一つしかなく、村の水は全てここの井戸から汲んでいた。
「ありがとうございます。私一人で大丈夫ですので」
「あなたに神の祝福を」
村長は旅人のために祈りをささげた。
旅人は丁寧に村長に頭を下げた。村長は来た道を引き返した。
旅人は井戸を覗き込んだ。水がなみなみと溢れている。旅人はそこに唾を吐いた。
井戸の水が一瞬、黒く光った。
「こんにちわ、旅人さん」
旅人は声のした方を振り返った。そこには、少女が一人、笑顔を浮かべ立っていた。
「こんにちわ、お嬢さん。何か用でも?」
旅人もにっこりと微笑んだ。旅人の笑顔は今まで見たどんなものよりも美しかった。
「旅人さんは色んな街に行くから色々知っているのでしょう?」
「一応ね」
旅人は腰を下ろし、少女の目線と自分の目線を合わせた。
少女の瞳は純粋な輝きを放っている。
「神様はどこに住んでいるのか、わかる?」
少女のあどけない質問に、旅人は笑いそうになった。
「神様は人間よりも高いところにいて、いつも人間を見下ろしているんだよ」
「神様に願い事をすれば叶うのかな?」
「神様に選ばれた人間の願い事しか叶えないよ」
「私もお願いすれば叶えてくれるかな?」
旅人は沈黙し、俯いた。
さっきまで優しく答えてくれた旅人が急に黙り込むので少女は不安になった。
「どうしたの、旅人さん?」
旅人は立ち上がり、右手で少女の首に触れた。びくっと体を震わす少女。
旅人は微笑んだ。とても優しく、残酷な笑みだった。
「無理だよ。だって君はここで終わるんだから」
言い終わると同時に、旅人は少女の首を力強く掴んだ。
少女は悲鳴を上げる間もなく、首の骨が折れた。
旅人は少女を地面に無造作に捨てた。
そして、村を出た。笑いながら。
数日後、村は疫病で壊滅した。
「アンタナンカキライダヨ」
あなたが言った言葉で全てが終わった。
どうしてこんな事になったのだろう。
一時間前は、あんなに仲良しだったのに。
何がいけなかったのだろう。
あなたは最初から私を友達だと思っていなかったの?
そうなの?表向きは"友達"だったの?
本当は私が嫌いだったの?
何度考えても私の思考は先に進まない。
私達は仲が良かった。学校の昼休みに一緒によくご飯食べたりした。
あなたは私よりも頭が良くて、綺麗で私の憧れの存在だった。
私はあなたが大好きで、あなたも私を好きでいてくれてると思った。
だからこれからも、ずっと友達だと思っていた。
あなたに会える日はとても楽しかったんだよ。
私が甘かったのかな。人の心なんて見えないよね。
勝手に友達だと思い込んでいたのかな。
私のこと嫌いだったんだね。
吐き気がする程嫌いで、堪えていたんだね。
じゃあ、どうしてあなたは今泣いているんだろう。
「私とアンタはどこが違うの?私はアンタより頭がいいのに、どうして皆アンタばっか見るの!?」
あなたは泣きながら私の首をしめる。
そういえば、あなたはいつも一人で寂しそうだった。
私はあなたに同情していたのかもしれない。
余計なお世話だったのかな。あなたが寂しくないようにって一緒にいたのは。
可哀想に。私が逆に追い詰めてしまったんだね。
大丈夫だよ。
私は最後まであなたを裏切らないよ。
あなたの瞳から涙が零れた。
今日はとても静かだ。
私は静かな日が好きだ。
二歳の娘が私の元に微笑みながら、抱っこしてとせがむ。
愛らしい娘に私の顔もつい緩む。
私には二人娘がいる。
九歳の長女と二歳のこの子。
九歳の子は、前の旦那との子だ。だから、この子と年が離れている。
はっきり言うと、私は長女が嫌いだ。
長女は外見も前の旦那に似ているし、性格も似ている。
常に何か喋っている子で、とてもうるさい。
私たちの会話によく割り込んでくる。
大人が真面目な話をしている時、割り込んでくるのだ。
迷惑この上ない。長女は場の空気が読めない子だ。
何よりこの子は、頭が悪いのかどうかわからないのだが、言う事を聞かないのだ。
私がどんなに言っても、どんなに殴っても言う事を聞かない。
長女は人を怒らせることにかけては天才だ。
長女と次女が一緒にいると、必ず、長女は次女を泣かす。
注意しても直らないのだ。
ゆえに毎日が子供の泣き声と長女の馬鹿みたいな笑いが響いていた。
こんな事になるなら最初っから長女を引き取らなければよかった。
こんな可愛くもない前の旦那に似た頭の悪い子なんていらなかった。
子持ちで結婚するのがどんなに大変だった事か…全て長女のせいだ。
私は、そう思う心をひた隠しに生活していた。
「ママ、お姉ちゃんは?」
この子が私に抱かれながら、そう聞いてきた。
私はにこりと微笑んだ。
愛しい私の娘。この子以外いらない。
「お姉ちゃんなんていないわよ」
この子は不思議そうな顔をしたが、「そうなのー?」と言った。
まったくもって、長女は最後の最後まで手間をかけさせる子だ。
ゴミ箱から、人間の右足が出ていた。
私は静かな日が好きだ。
二歳の娘が私の元に微笑みながら、抱っこしてとせがむ。
愛らしい娘に私の顔もつい緩む。
私には二人娘がいる。
九歳の長女と二歳のこの子。
九歳の子は、前の旦那との子だ。だから、この子と年が離れている。
はっきり言うと、私は長女が嫌いだ。
長女は外見も前の旦那に似ているし、性格も似ている。
常に何か喋っている子で、とてもうるさい。
私たちの会話によく割り込んでくる。
大人が真面目な話をしている時、割り込んでくるのだ。
迷惑この上ない。長女は場の空気が読めない子だ。
何よりこの子は、頭が悪いのかどうかわからないのだが、言う事を聞かないのだ。
私がどんなに言っても、どんなに殴っても言う事を聞かない。
長女は人を怒らせることにかけては天才だ。
長女と次女が一緒にいると、必ず、長女は次女を泣かす。
注意しても直らないのだ。
ゆえに毎日が子供の泣き声と長女の馬鹿みたいな笑いが響いていた。
こんな事になるなら最初っから長女を引き取らなければよかった。
こんな可愛くもない前の旦那に似た頭の悪い子なんていらなかった。
子持ちで結婚するのがどんなに大変だった事か…全て長女のせいだ。
私は、そう思う心をひた隠しに生活していた。
「ママ、お姉ちゃんは?」
この子が私に抱かれながら、そう聞いてきた。
私はにこりと微笑んだ。
愛しい私の娘。この子以外いらない。
「お姉ちゃんなんていないわよ」
この子は不思議そうな顔をしたが、「そうなのー?」と言った。
まったくもって、長女は最後の最後まで手間をかけさせる子だ。
ゴミ箱から、人間の右足が出ていた。
朝が来れば、太陽が昇り日が差し込む。小鳥は鳴き、人々に朝が来たことを伝える。
緑に輝く木の葉っぱに、目を楽しませてくれる美しい花々。
太陽は輝いて、夜が来れば月が顔を出す。
太陽と月が入れ替わる瞬間は神秘的で、月は星と一緒に空に上り輝く。
人々はその夜空を見上げ、感銘の息をつき、そして眠りにつく。
空は毎日色んな色を出してくれる。
海は美しく澄んでいて、さざ波の心地いい音は心を癒してくれる。
大地は力強く、木々や動物を養う。
世界はこんなにも美しく輝いているのに、僕の周りの世界はどうして醜いのだろう。
金と世間の目ばかりを気にする親。
偽善に満ち溢れた笑顔を振りまく同級生。
数字にしか興味のない教師。
子供を食い物にする大人。
命をなんとも思わない子供。
僕の世界は、偽善と欺瞞に満ち溢れている。
とても、息が詰まるんだ。苦しくて苦しくて、息ができない。
だから、僕は別れを告げることにした。
朝、僕はいつもの様に起きて、顔を洗って制服を着た。
そして、居間に向かい、いつもの様に朝食を食べた。
父は新聞を読んでいる。母は、台所に立って何か作っている。
無言の食卓。夕食もそうだ。会話がないんだ。
話しかけてくる時は、いつも成績のことばかり。
悪かったら、母はわめくし、父は僕を罵る。だから、いつも成績は上位をキープしている。
そうすれば、両親はほっといてくれるから。
食べ終わった皿を片付けて、僕はいつもの様に出かけた。
もうこの家には戻ってこないよ。
振り向かない両親に、心の中でさよなら。と呟いた。
僕は学校とは反対方向に歩き出して、携帯を取り出した。
学校に電話し、今日は休むと伝えるからだ。担任は僕のことをいたく気に入っている。
なぜなら、成績はいいし、おとなしく、真面目な生徒だからだ。
電話には担任が出た。僕は具合が悪いから休むとだけ伝えた。
きっと、学校が終わった後、家に電話してくるだろう。
具合は大丈夫か?と。
母は驚いて僕の携帯にかけてくると思う。僕が学校をサボることに恥ずかしさを感じながら。
もう、使うことのない携帯の電源を僕は切った。
僕は電車に乗って、終電まで乗っていこうと思った。
財布には二万円ほど入っている。十分足りるだろう。
電車に乗って僕は景色を眺めた。
のどかな田園風景やら高層ビルだとか海とか色々な景色が飛び込んでくる。
飽きずに眺めていたら終電につき、もう夕方だった。
僕は空を眺めた。
真っ赤な夕日が美しかった。
やっぱり空は美しい。この後、月が星と顔を出すのだろう。
僕はただひたすら歩いていた。空を眺めながら。
僕は適当な高さのビルを見つけて入った。なかなか、ぼろいビルだ。
まだ夕方だから、ビルは開いてて僕は階段を使って屋上に向かった。
屋上には誰一人いなかった。
この屋上にはフェンスがなく、ちょうど僕の腰ぐらいの高さのセメントがあるだけだった。
荷物を置き、僕はそれを乗り越えた。そして、僕は落ちないように座った。
街に明かりが灯ってきた。こうやって見ると、人間の世界は美しいのかもしれない。
けれど、やっぱり夜空の輝きには負ける。
その夜は、空がとても綺麗だった。天の川のように星が沢山、輝いている。
手を伸ばせば、届きそうな輝き。世界は美しすぎる。
僕は立ち上がった。そして、夜空を見上げながら別れを告げた。
世界が僕を抱いてくれているようだ。心地いい。
瞳を閉じて、大きな音がした。
緑に輝く木の葉っぱに、目を楽しませてくれる美しい花々。
太陽は輝いて、夜が来れば月が顔を出す。
太陽と月が入れ替わる瞬間は神秘的で、月は星と一緒に空に上り輝く。
人々はその夜空を見上げ、感銘の息をつき、そして眠りにつく。
空は毎日色んな色を出してくれる。
海は美しく澄んでいて、さざ波の心地いい音は心を癒してくれる。
大地は力強く、木々や動物を養う。
世界はこんなにも美しく輝いているのに、僕の周りの世界はどうして醜いのだろう。
金と世間の目ばかりを気にする親。
偽善に満ち溢れた笑顔を振りまく同級生。
数字にしか興味のない教師。
子供を食い物にする大人。
命をなんとも思わない子供。
僕の世界は、偽善と欺瞞に満ち溢れている。
とても、息が詰まるんだ。苦しくて苦しくて、息ができない。
だから、僕は別れを告げることにした。
朝、僕はいつもの様に起きて、顔を洗って制服を着た。
そして、居間に向かい、いつもの様に朝食を食べた。
父は新聞を読んでいる。母は、台所に立って何か作っている。
無言の食卓。夕食もそうだ。会話がないんだ。
話しかけてくる時は、いつも成績のことばかり。
悪かったら、母はわめくし、父は僕を罵る。だから、いつも成績は上位をキープしている。
そうすれば、両親はほっといてくれるから。
食べ終わった皿を片付けて、僕はいつもの様に出かけた。
もうこの家には戻ってこないよ。
振り向かない両親に、心の中でさよなら。と呟いた。
僕は学校とは反対方向に歩き出して、携帯を取り出した。
学校に電話し、今日は休むと伝えるからだ。担任は僕のことをいたく気に入っている。
なぜなら、成績はいいし、おとなしく、真面目な生徒だからだ。
電話には担任が出た。僕は具合が悪いから休むとだけ伝えた。
きっと、学校が終わった後、家に電話してくるだろう。
具合は大丈夫か?と。
母は驚いて僕の携帯にかけてくると思う。僕が学校をサボることに恥ずかしさを感じながら。
もう、使うことのない携帯の電源を僕は切った。
僕は電車に乗って、終電まで乗っていこうと思った。
財布には二万円ほど入っている。十分足りるだろう。
電車に乗って僕は景色を眺めた。
のどかな田園風景やら高層ビルだとか海とか色々な景色が飛び込んでくる。
飽きずに眺めていたら終電につき、もう夕方だった。
僕は空を眺めた。
真っ赤な夕日が美しかった。
やっぱり空は美しい。この後、月が星と顔を出すのだろう。
僕はただひたすら歩いていた。空を眺めながら。
僕は適当な高さのビルを見つけて入った。なかなか、ぼろいビルだ。
まだ夕方だから、ビルは開いてて僕は階段を使って屋上に向かった。
屋上には誰一人いなかった。
この屋上にはフェンスがなく、ちょうど僕の腰ぐらいの高さのセメントがあるだけだった。
荷物を置き、僕はそれを乗り越えた。そして、僕は落ちないように座った。
街に明かりが灯ってきた。こうやって見ると、人間の世界は美しいのかもしれない。
けれど、やっぱり夜空の輝きには負ける。
その夜は、空がとても綺麗だった。天の川のように星が沢山、輝いている。
手を伸ばせば、届きそうな輝き。世界は美しすぎる。
僕は立ち上がった。そして、夜空を見上げながら別れを告げた。
世界が僕を抱いてくれているようだ。心地いい。
瞳を閉じて、大きな音がした。