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創作短編小説です。 基本的にダークです。 ですので、死とか血とかでます。 ホラーです。
April / 20 Sun 17:25 ×
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December / 29 Fri 22:05 ×

また、怒られてる。

姉が八歳の長女を怒鳴り、叩いている。

毎日、彼女は姉に怒鳴られ、叩かれる。

それでも、彼女は自分の母を愛していた。

私は、そんな光景を眺め去って行く。

自分には関係ないし、姉の家族に口を出す気はない。

姉は三年前、最初の夫と別れた。

その時、長女は五歳で姉が引き取った。

そして二年前、新しい男と再婚し、二人子供をもうけた。

新しい夫の子は、二歳と十ヶ月の二人だ。

八歳の長女は毎日、怒鳴られる。

だって、頭が悪いから。

学校の成績は、学年トップ並みに良い。

けれど、なんと言うのだろう。

行動面で頭が悪いのだ。

そう例えば、食事中、音を出して長女はご飯を食べる。

三歳のころから、姉はそれを注意してきた。

けれど、八歳になった今、直っていない。

他の事もそう。

長女は落ち着きがなく、ぺちゃくちゃ喋ってて、うるさい子供だ。

誰だってうるさい子供は煩わしい。

しかも、毎日注意しても直らないのだから、うざがられるものだ。

その事に本人は気づいているのか私はわからないが。

最初、私は長女を可哀想に思った。

何故なら、新しい父ができ、妹もできた。

母である姉も新しい父親も、妹ばかり見ている。

誰も長女を見ない。

それもそうだろう。

悪戯ばかりして、一人でギャーギャーわめく子供を誰が愛そうか?

しょっちゅう、他人の邪魔ばかりしているような子供を。

どんなに叩いても、罵っても、変わらない子供を。

私は長女が嫌いだ。今は可哀想にも思わない。

ただ、馬鹿なガキとしか思わない。

長女は用もないのに、私の所に来る。

私の私物をあさる。

私はそれが嫌いだった。

汚い手で私のものに触れること自体許せなかった。

それに、長女に何を言っても口答えばかりするから無駄だった。

三歳のとき、長女が私に唾を吐いた。

私はそれを叱ったが、ずっとキチガイみたいに笑いながらやっていた。

長女はそういう子だ。止めろと言えばもっとやるような子だ。

だから、皆、嫌いだった。

長女が愛情に飢えていることを私は知っている。

長女が私を愛しているのを私は知っている。

けれど、私は長女が嫌いだ。

愛情が欲しければ、二度と同じことをしなければいい。

愛情が欲しければ、手間のかからない子供になればいい。

愛情が欲しければ、おとなしくしていればいい。

どうして、この事がわからないのだろう?

そうやって、また馬鹿なことをして皆の気を引くつもりでも?

誰も、見ないよ。

変わらない馬鹿な子供なんか。

長女が風邪を引き弱まっている時ですら、姉は心配するどころか逆に長女を罵った。

「お前はちっとも私に似ていない!!顔も性格も何もかもあの男そっくり!!!」

私は黙って、車を運転した。さすがの私も可哀想に思えた。

長女のすすり泣く声が聞こえる。

姉は構わず、罵っていた。

二歳の次女は母である姉を見ていた。

長女を罵るだけ罵って、姉は次女に微笑んだ。

あぁ、姉さん。貴方も『あの男』と一緒ですよ。

姉さん、長女のもの覚えの悪さは貴方そっくりです。

長女の口の悪さも貴方ゆずりです。

姉も結局、馬鹿な人間だ。

最初の夫との結婚に母は反対した。なのに、結婚した。

したら、この有様。最初の夫は最低な男だった。

姉さん、貴方も十分笑いものです。

長女を罵るだけ罵って、貴方も自分の事を省みようとしない。

二歳の次女は頭がいい。

両親が自分を愛していることを知っている。

だから、八歳である長女をいじめる。

長女がちょっと反撃すれば、泣き喚く。

そして、長女は姉に叩かれる。

次女はその光景を見てる。

姉は最初、長女を愛していた。

それはもう、今の次女と三女のように。

何もかも、長女優先だった。

なのに、最初の夫と別れ、再婚したら、この扱い。

長女はいつも叩かれ役。罵られる役。

それも仕方がないさ。だって、お前がほとんど悪いんだもの。

運も悪かったんだよ。私の姉の元に産まれて。

つくづく思う。

長女は何のために、産まれてきたのか。

長女は無駄な命の一つだと思った。

可哀想に。

なんでお前は産まれてきたの?

姉さんはお前なんて、欲しくなかったんだよ。

私はそれを知っている。けれど、降ろすこともできないから。

毎日どこかで、馬鹿な親によって無駄な命が産まれているのだろう。

そう思うと鳥肌が立った。

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