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創作短編小説です。 基本的にダークです。 ですので、死とか血とかでます。 ホラーです。
April / 20 Sun 16:56 ×
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December / 29 Fri 22:03 ×
同級生の男が死んだ。俺の親友だった男だった。

学校の屋上から落ちたようだ。

遺書も何も残さず死んだから、自殺なのか事故なのかわからない。

警察は自殺ではなく事故だと判断した。理由は遺書がないこと。

生前自殺をほのめかす事も言っていない事。

手すりに座っていたのを誤って転落しただろうと言う事だ。

そのせいで、屋上は完璧に立ち入り禁止になった。

もちろん、その話はクラスに衝撃が走った。クラス皆でアイツの葬式に出た。

泣いた子もいっぱいいた。アイツは皆に人気があったから。

葬式の次の日には、アイツの机に花が飾ってあった。

ひっそりとアイツの代わりに置いてある花。

アイツが本当に死んだと確信させる。

その花を持ってくる子は、アイツの彼女。

寂しそうに辛そうに花を添える。

「どうして死んじゃったの……」

彼女がか細い声で呟いた。俺は何も言えなかった。


アイツと彼女はとても仲の良い恋人だった。付き合って一年は立つだろう。

アイツはいつも俺に彼女の話をしていた。

楽しそうに嬉しそうに彼女についてアイツは語っていた。

アイツは最後まで気づいていなかったんだ。

俺が彼女が好きだって事。

アイツの彼女の話を聞くたび、俺は辛かった。

日に日にアイツへの憎悪が心に溜まっていくのがわかった。

気持ちを悟られないように必死に隠してきた。

アイツへの憎悪と彼女の思い。

何度も自分に言い聞かせた。

『アイツはとても良い奴なんだ。俺よりもアイツの方が彼女に似合う』

俺はアイツの親友だから本当にそう思っていた。

思っていたのに……。

でも、結局駄目だった。

限界を突破したとき、俺は行動してしまったんだ。

屋上にアイツを呼び出して、俺は背中を押した。

アイツは相手が俺だったから全然警戒していなかった。

あっという間の出来事だった。

大きい音がした時全てが終わったんだ。俺はすぐその場を離れた。

誰も俺を疑わなかった。


「……せめてアイツの冥福を祈ろう」

俺は泣き出しそうな彼女にそう一言言った。

彼女はこくりと頷いた。

彼女のショックがでかいのは誰にでもわかった。

今の彼女には支えがないと駄目だと言う事も。

アイツの代わりに俺が彼女を支えてあげよう。

今度こそ、俺の思いは報われそうだ。
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