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創作短編小説です。 基本的にダークです。 ですので、死とか血とかでます。 ホラーです。
April / 20 Sun 21:08 ×
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December / 29 Fri 21:44 ×
君が一体何を求めているのか僕にはわからない。

人に何かを求める行為自体、無駄だと思う。

その人が君の望み通りのものを与えてくれるとは限らない。

君も努力した方が良いよ。

人に頼る前に自分の力でなんとかしなよ。

僕に何かを求めても無駄だよ。

僕は何も持っていないんだから。

だから、ごめんね。

僕は君を救えない。


そう言って、僕は君の手を振り払った。

君の手は最後まで僕にすがるように伸びていた。
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December / 29 Fri 21:42 ×
この作品では【僕私】になっています。


目を閉じれば君が蘇る。

君は蝶々で、私は花。

君は美しい花の中を忙しく飛び回る蝶。

花達は蝶が止まってくれるのをただ、待つだけ。

どんなに花が香りを放っても、蝶はヒラヒラと別の花に向かう。

それならば、いっそ私は枯れましょう。

ただ、ひっそりと蝶への思いを土に返して。

何もかもなかった事にして。

―――
なのに君はどうしてそんな顔をするの?

君にとって私は沢山ある花の一つ。

君は気まぐれな蝶で、花の気持ちなんて知らないはずで―――

花はもう枯れてしまった。

私は時々、君の事を思い出しては記憶の中の君を愛でる。

でも何故かな。

あの時の君の泣きそうな顔が一番鮮やかに蘇る。
December / 29 Fri 21:40 ×
僕は君に嫉妬している。

君は誰のものにならないのに、どうして僕は君のものなのだろう。

僕は君と僕の違いを考えてみた。

君はいつも自己中心的で他人の事を考えない。

僕は他人の事を考えながら、その時行動する。

……
これじゃあ僕の方が全然まともな人間じゃないか。

不意に深刻そうな僕の顔を見て、君は不安そうに僕の顔を覗き込んだ。

「何でもないよ」

僕がそう言うと君はにこりと微笑み、何処かに行ってしまった。

空が眩しかった。

やっとわかったよ。僕と君の違い。

君は独立しているんだね。君は誰にも依存していない。

僕も君と同じ様になれるかな。

でも、僕はもう少し君に依存したい。

だから、もう少し【君のもの】でいよう。
December / 29 Fri 21:36 ×
一体何がいけなかったのか、何故こんな事になったのか、

と言うことを今更考えたってしょうがない。

全て終わってしまった事なのだ。

僕はぼんやりとした頭でさっきの事を思い返していた。

君が僕に別れを告げて、僕は黙っていた。

僕は君の事を愛していたんだ。

だけど、君は僕を愛していなかった。

君は僕に一言も発する隙を与えず、僕に罵声を浴びせた。

それはとても酷い言葉達だった。

どうして君があんなに必死になって、

僕に罵声を浴びせていたのか僕にはわからない。

もしかしたら君は必死に自分を守ろうとしていたのかもしれない。

けれど、その事実が僕にとって憎むべきものだったんだ。

君は言うだけ言うと、くるりと背を向けた。

そして、僕は落ちていた大きめな石を拾って君の頭を殴った。

結論から言うと、僕は幸せではない。

殺したはずの君の声が、僕の耳にいまだ残っているのだから。
December / 29 Fri 21:33 ×
外から見れば、私の家庭は恵まれているだろう。

年の割には、若くて綺麗な母。

経営者でお金を稼ぐ父。

有名な大学に入った娘。

家は他のよりも豪華で、高い車に乗っている。

欲しい物は買い与えてくれた。

何不自由はなかった。




毎晩、両親の喧嘩する声で目が覚めた。

暗闇の中、布団にこもり、一人で耳を塞いで寝た。




学校へ行き、友人と他愛も無い会話をした。

誰も本当は心を開いていない事を知った。




バイト先へ向かい仕事をした。

バイトの先輩がお金を盗んでいた。




家に帰った。

母が夕ご飯を作って待っていてくれた。

父も仕事から帰ってきて私を待っていた。




家族で会話をした。

話の内容は私の勉強のことばかりだった。

それ以外、話した記憶がない。




暗闇の中、私は一人眠った。

両親の怒鳴り声が聞こえた。




私は恵まれた家庭に生まれた。

何不自由はなかった。

どうして、こんなに寒いのだろう。

どうして私の心は、こんなに渇望しているのだろうか。

何も満たされない。どこも寒い。




目が覚め、私はコップに水を注いだ。





コップに注いだ水は、なぜか血の味がした。
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