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創作短編小説です。 基本的にダークです。 ですので、死とか血とかでます。 ホラーです。
April / 20 Sun 08:42 ×
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March / 28 Wed 23:22 ×

今日運ばれてきた子は、五歳ぐらいの少年だった。

運んできたのは、いつも通り、リーとアカギの男二人組みだった。

私は準備をして待機していたので、すぐさま手術をした。

さらってきた少年の心臓を、依頼主の少女に移植する手術だ。

地下にある病室は、どこか冷たい。

それでも、私の額には汗が流れる。



三年前、父親が博打で借金をした。

最悪なことに、闇金から借金をしていたので、ヤクザが来た。

そして、息子である私が外科医だとわかると、借金をチャラにする代わりに、今の仕事をすることになったのだ。

最初は、嫌だった。

彼らが運んでくる臓器は、鮮度も悪く、とてもじゃないが患者に移植する気になれなかった。

時々、どこからかさらった子供を連れて来ては、移植手術をさせる。

それが私に罪悪感を与えるのだ。

しかし、今では私自らが志願して、この仕事をしている。

この仕事は、私の医者としての実力を高める。

誰だって手術をして、自分の腕を高めたいものだ。

それは自然なことだった。

今の医療界は腐っている。

名ばかりの医師なんかよりも私の方が実力がある。

私は他の医師を見かけ、心の中で彼らを嘲笑う。

私はその度、優越感に浸るのだ。



少女への手術は、約八時間で終わった。

予想外に何もトラブルはなく、順調に終わった。

少女は速やかに、上の病室に移送させた。

それは勿論、アカギとリーの仕事である。

少女が長生きできるかは、私は知らない。

心臓移植をしても、およそ一年ほどしか生きられないだろう。

それは神のみぞ知ることだ。

私は、まだ処理をしなくてはならない。

心臓をくり抜いた少年の死体は、まだまだ使い道がある。

少女の手術中、私は他にもまだ少年の使えそうな臓器は、全て摘出しておいた。

臓器は全て、鮮度が命である。鮮度が落ちたものは、使えない。

これらも全て次の患者の為に残すのだ。

世の中、臓器が欲しい人間は、いくらでもいる。

特に子供の臓器は、決定的に世界で足りない。

私の患者が待ち望んでいるのだ。

そして、ほとんどの臓器と角膜がなくなった少年の死体を、私は細かく部品ごとに切り分けるのだ。

何故こんなことをするか。

それは売れるからである。

病院や研究所などには、例え肉片のカスであろうと高く売れるのだ。

中には、カニバリズムを持つ金持ちもいて、彼ら相手に売ることもある。

もしこの少年が美しい容姿をしていたら、ネクロフィリア相手に売ることもできた。

それは私の仕事ではない。

死体を美しく保つエンバーマーの仕事である。

しかし、残念ながら少年の容姿は、美しくない。

ゆえに、身体を売ることにしたのだ。

ここまですると、残酷だと私のことを言うだろう。

だがしかし、中途半端に少年を殺し、捨てるほうが残酷ではないか。

ならばいっそ、少年の身体を使って、他の人間を助けた方がタメになるではないか。

私は、細かく切った部品たちを丁寧に、保存し、少年の死体、ただの残りカスになったものを黒いビニールに入れた。

これは、アカギとリーが山の中にでも捨ててくれる。

手術で使った物を綺麗に消毒し、私は次の手術の準備をする。

次の手術は簡単なものだ。

人間の四肢を切断し、縫合するだけなのだから。

金持ちの中にも、そのような性的趣向の持ち主もいる。

ゆえにこのような手術は、珍しくも何もない。

所詮、金と狂気の世界なのだ。

世の中は本当、狂っている。



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