今日運ばれてきた子は、五歳ぐらいの少年だった。
運んできたのは、いつも通り、リーとアカギの男二人組みだった。
私は準備をして待機していたので、すぐさま手術をした。
さらってきた少年の心臓を、依頼主の少女に移植する手術だ。
地下にある病室は、どこか冷たい。
それでも、私の額には汗が流れる。
三年前、父親が博打で借金をした。
最悪なことに、闇金から借金をしていたので、ヤクザが来た。
そして、息子である私が外科医だとわかると、借金をチャラにする代わりに、今の仕事をすることになったのだ。
最初は、嫌だった。
彼らが運んでくる臓器は、鮮度も悪く、とてもじゃないが患者に移植する気になれなかった。
時々、どこからかさらった子供を連れて来ては、移植手術をさせる。
それが私に罪悪感を与えるのだ。
しかし、今では私自らが志願して、この仕事をしている。
この仕事は、私の医者としての実力を高める。
誰だって手術をして、自分の腕を高めたいものだ。
それは自然なことだった。
今の医療界は腐っている。
名ばかりの医師なんかよりも私の方が実力がある。
私は他の医師を見かけ、心の中で彼らを嘲笑う。
私はその度、優越感に浸るのだ。
少女への手術は、約八時間で終わった。
予想外に何もトラブルはなく、順調に終わった。
少女は速やかに、上の病室に移送させた。
それは勿論、アカギとリーの仕事である。
少女が長生きできるかは、私は知らない。
心臓移植をしても、およそ一年ほどしか生きられないだろう。
それは神のみぞ知ることだ。
私は、まだ処理をしなくてはならない。
心臓をくり抜いた少年の死体は、まだまだ使い道がある。
少女の手術中、私は他にもまだ少年の使えそうな臓器は、全て摘出しておいた。
臓器は全て、鮮度が命である。鮮度が落ちたものは、使えない。
これらも全て次の患者の為に残すのだ。
世の中、臓器が欲しい人間は、いくらでもいる。
特に子供の臓器は、決定的に世界で足りない。
私の患者が待ち望んでいるのだ。
そして、ほとんどの臓器と角膜がなくなった少年の死体を、私は細かく部品ごとに切り分けるのだ。
何故こんなことをするか。
それは売れるからである。
病院や研究所などには、例え肉片のカスであろうと高く売れるのだ。
中には、カニバリズムを持つ金持ちもいて、彼ら相手に売ることもある。
もしこの少年が美しい容姿をしていたら、ネクロフィリア相手に売ることもできた。
それは私の仕事ではない。
死体を美しく保つエンバーマーの仕事である。
しかし、残念ながら少年の容姿は、美しくない。
ゆえに、身体を売ることにしたのだ。
ここまですると、残酷だと私のことを言うだろう。
だがしかし、中途半端に少年を殺し、捨てるほうが残酷ではないか。
ならばいっそ、少年の身体を使って、他の人間を助けた方がタメになるではないか。
私は、細かく切った部品たちを丁寧に、保存し、少年の死体、ただの残りカスになったものを黒いビニールに入れた。
これは、アカギとリーが山の中にでも捨ててくれる。
手術で使った物を綺麗に消毒し、私は次の手術の準備をする。
次の手術は簡単なものだ。
人間の四肢を切断し、縫合するだけなのだから。
金持ちの中にも、そのような性的趣向の持ち主もいる。
ゆえにこのような手術は、珍しくも何もない。
所詮、金と狂気の世界なのだ。
世の中は本当、狂っている。
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