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創作短編小説です。 基本的にダークです。 ですので、死とか血とかでます。 ホラーです。
April / 20 Sun 06:43 ×
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March / 28 Wed 20:07 ×

今日も依頼が入った。

私は手早く支度をすませ、外に待たせてある白いワゴン車に乗り込む。

運転席には、見慣れた顔のリーが座っていた。

私は後ろに座った。

フロントガラス以外は、全て黒いフィルムを貼られていて、外から中は見えない。

この仕事には、最低限必要なことだ。

リーは、私が車内に入ったのをバックミラーで確認すると、車を走らせた。

リーと私は、かれこれ十年ほどの付き合いだ。

リーは私よりも五つ年上の中年男性で、いつも静かで滅多に話したりしない。

私もリーと会話したいとは思わないから、丁度いい。

彼は色んな道を知っているので、運転手として適任だ。

リーは、あるニュータウンに入った。

そこのニュータウンには、入り口の方に警備員が三人いる。

リーは窓ガラスを開け、身分証を警備員に渡した。

警備員は何も疑わず、中に入れてくれた。

リーはゆっくりと車を走行し、道路にいる人々を観察する。

夕方なので、子供達が沢山遊んでいた。

母親達も子供達を微笑ましく見守っていたり、母親達で談笑している。

人は、人が沢山いると、つい油断してしまうものである。

さらにニュータウンに警備員がいると、安心してしまうのだ。

かなり奥まで、ニュータウンに入った。

ある角で少年達は、サッカーボールを蹴って遊んでいた。

少年達は、どうやら五、六歳ぐらいだ。

ちょうどいい。リーもそう思ったのだろう。

そして、ボールがこちら側に飛んできた。

リーは、車を止めた。

少年の一人が、走ってボールを取りに来る。

私は急いで車から降りた。

今がチャンスなのだ。

そして、ボールを取りに来た少年を後ろから襲い、手に持っていたハンカチを少年の口元で押さえる。

驚いて何が起きたかわからない少年は、一瞬で気を失い、私は少年を担ぎ、車に運ぶ。

遠くで母親達が驚いて見つめ、そして、少年の母は悲鳴を上げた。

リーは、私達が車に乗ったことを確認すると、急いで車を出した。

人の足と車では、速さが違う。残念ながら追いつけないのだ。

そして、入り口のところで警備員に身分証を返してもらう。

ここは出入り口が一緒なのだ。

私は勿論、少年が警備員から見えないように隠す。

すんなりと私達の車は、出て行った。

子供は宝だと、昔の人間は良く言ったものだ。

私達の仕事でも、子供は大事である。

少年の母親には気の毒だが、仕方がない。

また子供でも作ればいいだろう。

この少年は、とても健康そうだ。

残念ながら顔立ちは、あまり良い方ではない。

まぁ別に関係ない。

依頼主は、五、六歳の子供の心臓が欲しいのだから。

親と言うものは、自分の子供の為だと鬼にでもなるようだ。

自分の子供が死にそうならば、他の子供を殺してでも、自分の子を助けたいのだ。

少年は、まだ気を失っている。

次に会うときは、原型を留めているだろうか。



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