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創作短編小説です。 基本的にダークです。 ですので、死とか血とかでます。 ホラーです。
May / 18 Sat 14:17 ×
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February / 20 Tue 19:12 ×

ある青い空の昼下がり。

少女が一人、人気のない公園のベンチに座っていた。

その少女は、とても美しく、どこか艶かしい雰囲気をもっていた。

スーツを着た青年が、少女の元に歩んできた。

「隣に座っても、いいですか?」

「ええ、どうぞ」

少女は微笑んだ。

青年は小さくお辞儀をすると、少女の隣に座った。

身のこなしの美しい、柔和な顔立ちをした青年だった。

「お兄さん、ここから見える館のお話をご存知?」

少女は口元に笑みを浮かべ、ここから見える館を指差した。

その館はとても古く、不気味な館だった。

青年はそれを見つめ、そして首を横に振った。

少女は面白そうに笑った。

「…あの館はね、呪われているの」

「呪い?」

愛らしい少女の口から出た言葉に、青年は驚きを隠せなかった。

青年の反応が面白いのか、少女は面白そうに笑った。

そして少女は、静かに語りだした。

「ずっと、昔。あの館には、ある男が住んでいたの」



その男は両親をなくし、十はなれた妹と二人で住んでいたわ。

男の父は、戦争で戦死し、母は病気で亡くなったの。

男はとても賢く優しく、妹をとても可愛がっていたの。

二人は、とても仲のいい兄妹だった。

けれど、悲劇が起きたの。

それは妹の十二回目の誕生日。

その晩、男は妹の首を絞め、殺したの。

そしてすぐに、ナイフで自分の首を切って自殺したわ。

どうして、男はそんなことしたかって?

それは男が、妹に恋をしていたからよ。

そのことに男は悩んで、気が狂いそうになったのでしょうね。

美しく成長していく妹を愛さずにはいられないことに―――。

どうして、私がこの話を知っているかって?

フフフ…ここら辺に住んでいる人なら、皆知っている話よ。



「それ以来、あの館からは男の幽霊が出るんですって」

少女は語り終えると、目を伏せた。

青年は、しばし館を見つめ、重い口を開いた。

「君は、男の幽霊を見たことある?」

「私?見たことないわ」

少女は意味ありげに微笑んだ。

青年は少女を見た。

絹のような黄金の長い髪。

白く透けるような肌。

人形のように整った愛らしい顔。

大きな瞳は、透き通る青。

愛らしい薄桃色の唇。

小さな身体。

この少女は美しいと青年は、思った。

そして、青年は右手で少女の髪を掴み、匂いを嗅いだ。

青年の突然の行動に少女は、驚き、怯え青年を見た。

「な、何?」

青年はクスリと笑った。

「君はとても綺麗な子だね…髪は綺麗でいい匂いがする」

「お兄さん…?」

青年は左手を伸ばし、怯えている少女の顔に触れた。

右手はしっかりと少女の髪を掴んでいる。

逃げるにも逃げれない少女は、身を縮め、できるだけ青年から離れるようにする。

無駄なことだとわかっていても、少女はそうした。

「肌も白いし、瞳はとても綺麗だ」

青年はうっとりと少女の顔を見ると、笑った。

顔に触れた手は、少女の首へと移動する。

「君の話してくれた話には、間違いがあるよ。

男は妹に恋をしていたわけじゃない。

可愛らしい妹が成長していくことが、許せなかったんだ。

だから、これ以上成長させないために、殺したんだよ」

言い終わるやいなや、青年は少女の首を両手で絞めた。

悲鳴も上げられず、少女は必死に手足をばたつかせ、抵抗したがそれも空しく終わった。

少女が事切れるのを確認すると、青年は愛しそうに少女を抱き上げた。

そして、悲しそうに呟いた。

「皆、幼い時は純粋で無垢で愛らしいのに、成長すると醜くなる…

そんなこと耐えられるはずがない…」

青年は、死体になった少女の頭を撫でた。

愛しそうに何度も、何度も。

青年はベンチに背をむけ、歩き出した。

そして、少女に微笑んだ。



「さぁ、家に帰ろう。永遠に僕と一緒にいよう」


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