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創作短編小説です。 基本的にダークです。 ですので、死とか血とかでます。 ホラーです。
May / 18 Sat 16:24 ×
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December / 29 Fri 22:37 ×
私に自我が目覚めた時、女は傍にいました。

その女は、私の聞きたくない言葉ばかり言います。

その女の言葉はとても鋭く、冷たく、私の心に突き刺さります。

女は知っているのです。

女の言葉は、私を深く傷つけることを。

私はその女に「止めてくれ」と泣きながら、懇願しました。

耳を塞ぎ、頑なに目を瞑り、女の声など無視しようとしました。

しかし、女はケタケタと笑い、辛辣な言葉を私に吐くのです。



「お前なんか誰とも必要とされていない」

「お前の存在など必要ない」

「なぜお前は生きている?」

「お前なんか死ねばいいのに」

「誰もお前なんか愛したりしない」

「皆、お前なんか嫌いだ」



毎日、毎日、女は私に言います。

私の心は疲れ果て、生きることさえ辛くなってきました。

私は私自身、この世に必要のない存在だと思えてきました。

女の言葉は、私をとても傷つけるのです。

私と言う存在自体を女は、壊そうとしているのです。

私という自我を保つ為に、私は薬を飲まなければなりません。

女はそんな私を見て、大声で笑って嘲笑うのです。

それがまた私を傷つけるのです。

私がどんなに頑張っていても、女は私を嘲笑い、中傷します。



医者が私の様子を見かねてか、新しい薬を渡してきました。

けれど、薬を変えたところで私の傷は癒えません。

この苦しみから抜け出すのに、薬を飲むのをやめ、死んでしまおうと私は思えてきたのです。

女に傷つけられながら、生きることに私は耐えられなくなりました。

女はそんな私を見て、また嘲笑いました。

新しい薬のせいでしょうか。

私にいつもと違った感情が、わきあがってきました。

私は、気づいたのです。

どうせ死んでも、女は私を嘲笑うのです。

ならば、いっそ女を殺せばいいのではないかと。

女を殺せば、この苦しみから抜け出せる。

私はそう思うと同時に、女に対する殺意が湧いてきました。

私を中傷し嘲笑う女。

私は近くにあった花瓶を手に取り、狂ったように笑っている女の頭を殴りました。

女は床に突っ伏し、花瓶も割れてしまいました。

ですが、女はまだ生きています。

私は、とにかく近くにあるものを手に取り、女の頭目掛けて何度も何度も殴りました。

どれくらいたったでしょうか。

我に返ったとき、女はもうピクリとも動きませんでした。

私の手も女の血で、赤くなっています。

急に力が抜け、私はその場に座り込みました。

そして、私は気づいたのです。

私を嘲笑い、中傷し、傷つけていた女は、私の母親でした。



ああ、また飲む薬が増える…。
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