[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
怖い話?
うーん、じゃあこの話をしようか。
少しだけ怖い話。
今から五年前ぐらいの事なんだけど、俺は親友と一緒に遊んでたんだ。
で、やっぱ若いから遊んでたら普通に夜中になってね。
帰る時はもう三時を回っていたよ。
二人で色々話してて、テンションが高かったな。
その矢先だったよ。
一瞬だったんだ。ドスって重たい音とブレーキの音。
わかる?
凄い衝撃がきたんだよ。
何か物体が前方数メートルに飛んでいった。
俺は助手席に座ってて、親友が運転していたんだよ。
親友の顔がみるみるうちに青ざめてた。
すぐにわかったよ。
【人を轢いてしまった】って。
俺は反射的に車から降りて、倒れている人間の元に駆け寄った。
辺り一面血の海だった。
親友の愛車にも血がついてて、ライトなんか壊れて欠片が辺りに散らばってた。
親友の車の壊れたヘッドライトが倒れてる人を照らした時、俺は息を呑んだ。
足から骨が出てたし変な方向に曲がってた。
頭から血が溢れ、もう顔が血まみれだった。
即死だった。息してなかったんだよ、倒れている人は。
それもそうだろう。
俺達の車は百キロ以上出してたから。
夜中だと車もなくて、つい、親友もスピードをだしていたんだ。
親友が車の中でがくがく震えていた。
正直、俺の頭に【逃げる】って単語が思い浮かんだ。
けど、例え逃げてもこんだけ車の部品が落ちてれば捕まるだろう。
日本の警察はひき逃げを捕まえるのが世界で一番の検挙率だしね。
【死体を隠す】って事も考えたけど、道路は血の海。
隠しても絶対ひき逃げがあったってわかる。それに車の部品。
俺は車に戻った。親友に【警察に連絡しよう】って言う為に。
「どどどど、どうしよぅ…お、俺…」
アイツは泣いてた。俺が車に戻ってきた瞬間、凄い勢いで俺に問い詰めてきた。
その時のアイツは、本当に怖かった。
微かな希望にすがっている人間ってのは何事にも必死なんだよ。
アイツの顔は別人と化してた。
「どうだった!?生きてた?!!」
俺はアイツに気おされ、言葉に詰まった。ただ、首を横に振るしか出来なかった。
「あぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
アイツはそう叫び、頭を抱えた。
俺はアイツを落ち着かせるため、優しく声をかけた。
「警察に連絡しよう。俺が電話してやる」
アイツは俺の話を聞いているのかどうかわからなかった。
ただ、静かに泣いてた。
俺が連絡した数分、警察が来て遺体を運んだり、現場検証したり、俺も事情聴取されたり大変だった。
え?その親友はどうなったって?
ちゃんと社会復帰してるよ。でも、車はもう運転してないみたいだよ。
そりゃあ腕がないからね。事故で切断したらしいよ。
その事件以来アイツとは連絡とってない。
アイツももう思い出したくないだろうし。
あの人轢いた瞬間の衝撃と音。
人がさ、ゴミみたいに軽く飛んじゃうんだよ。
一体、アイツはハンドルからどんな衝撃が伝わってきたのかな。
俺は残念ながら助手席だったからわからないけど大体想像付く。
でも、所詮は想像。いつだって本物にかないっこない。
だから、車運転してる時、人が道路を渡ると轢いてみたくなっちゃうんだよね。
あの時、アイツはこんな風に人轢いて、こう感じたんだ。って。
今は、ちゃんと理性が制しているよ。
けど時々、本当に轢いちゃおうかなって思う。
いつ、人を轢くんだろうね、俺は。
「そういえば、昨日面白い事があったんだよ」
そう言って、昨日の出来事をあなたは話し出す。
私はいつもの様に微笑みながら頷き、話を聞く。
あなたの話はとても面白い。私はあなたの話を聞くのが好きなの。
あなたの傍にいるだけで私はとても楽しいのよ。
あなたは私の事をどう思っているのかしら?
無口な女?聞き上手な女?私にはわからないわ。
けれど、あなたが私の事を好きなのは私でもわかるわ。
あなたが無邪気に笑顔を私に向けていると、とても罪悪感を感じるのよ。
私はね、とても汚くて醜い女なの。
あなたは「そんなことはない」って否定すると思うけど。
本当はあなたの傍には、いてはいけない存在なの。
あなたはそんな私に気づいていないのでしょう。
まぁ、私が演技上手のせいなのかもしれないけれど。
あなたの瞳と違って、私の瞳は濁っているの。
それはもう死んだ魚のような。
あなたと私は生きる世界が違かったせいかもしれないわね。
あなたは美しいものばかり見てきて、汚いものは隠されながら生きてきた。
私は美しいものと汚いものを同じぐらい見て生きてきたわ。
あなたのように瞳が輝いていたのは、何時の事だったかしら?
遠い昔のように思える。
私は、純粋な瞳を私に向け、色々話してくれるあなたが好きよ。
あなたは自分の矛盾にさえ気づいていない馬鹿な人だけどね。
あなたは本当に馬鹿な人。愚かな人。
矛盾に気づかず、無知で純粋なあなた。私は心の奥であなたを嘲笑っているの。
あなたの事を馬鹿だと思いながらね。
けれど純粋なあなたは何も気づかず私に微笑みかけるの。
私はあなたの事が好きよ。馬鹿で無知で純粋なあなたが。
これからも私はあなたの傍にいたい。
あなたの話を色々聞きたいわ。
「それでどうなったの?」
「うん、ここでアイツがーーー」
あなたは嬉々として、話を続ける。私の笑顔を純粋だと思いながら。
いつかあなたの瞳も濁るのだろうか。
もし濁るなら、私の目の前で濁って欲しいわ。
一体どのように、この輝きがなくなるのか見てみたい。
けれど、もう二度と今のあなたに会えないと思うと私は寂しくなった。
僕は貴方を愛してる。
貴方のその【青白い肌】を。
血の気がある肌は嫌いだよ。生暖かくて気持ち悪い。
僕は貴方を愛してる。
貴方のその虚ろな【濁った瞳】を。
澄んだ瞳は嫌いだよ。何もかも見透かすような瞳なんて。
僕は貴方を愛してる。
【沈黙】を守る貴方の唇を。
お喋りな唇は嫌いだよ。うるさすぎてたまったものじゃない。
僕は貴方を愛してる。
僕に触れようとしない【貴方の手】を。
馴れ馴れしく僕に触る人は嫌いだよ。汚らしい手で触れないで。
僕は貴方の肌を慈しみ、つくづく思う。
貴方は【本当】に美しい。
貴方は常に無言だし、僕に触れようともしない。
僕が触れても反応せず、ただ宙を仰ぐ。
皮膚は常に冷たく、とても心地いい感触。
この暗い部屋で貴方と二人っきり。僕は【幸せ】なんだよ。
貴方に口付けた時、貴方の【腐臭】に気づいた。
もう、貴方はダメみたいだね。僕とは【さよなら】だ。
今夜は新しい【貴方】を探しに行こう。
僕は朝が嫌いだった。
朝は一日の始まりで、まさに僕にとっては悪夢の始まりだった。
でもね、今はとっても心地いい。朝が来るのがこんなに楽しいなんて。
母さんが僕のために、ご飯を作っている。
綺麗だった母さんは、やつれ、目の下のクマは酷く、髪はぼさぼさで以前の面影がない。
あんなに美しかったのに、今はただの醜い女だ。
僕は椅子に座って母さんを眺めた。
前まで僕は椅子に座ることを許されず、ただ、母さんの足元に這いつくばっていた。
母さんが僕のために、ご飯を作ってくれたこともない。
ご飯の代わりに汚物を食べさせられたり、洗剤入りの水を飲まされたり、ごみを食べさせられただけだ。
洗剤入りの水を飲んだ時、僕は危うく死にかけた。
今となっては良い思い出だ。もう二度とそんな事できないだろうね。
ごみを食べたときは、お腹を壊したな。下痢が止まらなくて、母さんに殴られ、歯が折れた。
そうそう、母さんはよく僕を殴った。酷いときには、灰皿受けで殴るから僕は頭から血を流した。
こういう時に限って、母さんは僕を手当てするんだよ。殺さないように。
タバコの火もよく僕に押し付けた。今だ痕は消えないし、ライターの火で焼いた僕の腕の痕なんて酷いよ。
母さんは僕にいつも、ボロボロの服を着せてた。
おかげで、学校でいじめにあった。母さんはそれを知ってて、わざと着せてたんだ。
僕がどんなに恥ずかしかったか、母さん、わかる?
母さんはいつだって、綺麗な服を着て、きらきら光るアクセサリーを付けてた。
でもね、今はお風呂も入れてくれるし、綺麗な洋服を着せてくれる。
母さんが辛かったのはわかるよ。父さんが愛人と一緒に家を出ちゃったもんね。
だから、僕に沢山酷いことしたんでしょ?
母さん、僕は別に母さんのこと恨んでないよ?
苦しんでる母さんを見て、僕は十分楽しいんだから。
僕のこと、世間に知られたくないもんね。
母さんが、ご飯を作り終わり、持ってきた。
ご飯はカレーライスだ。僕にとってはご馳走だ。
前まで、母さんは作ってくれなかったんだから。
でもね、母さん。僕は食べないよ。
「ほら、食べなさい。美味しそうでしょ?」
か細い声で母さんは、僕に言った。そして、スプーンでカレーをすくい僕の口に運ぶ。
けれど、僕の口は堅く閉ざされたままだ。
「お願いだから、元に戻って、ねっ?」
母さんは痺れを切らしたのか、乱暴に僕の口をこじ開ける。
やめてよ、母さん。ほら、顎がとれちゃったじゃん。
母さんは、それを見て悲鳴をあげ、僕に謝る。
だから食べないって言ってるじゃん。あとでちゃんと付けてよね?
僕はもう死んでるんだから。