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創作短編小説です。 基本的にダークです。 ですので、死とか血とかでます。 ホラーです。
April / 21 Mon 02:40 ×
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December / 29 Fri 21:02 ×

怖い話?

うーん、じゃあこの話をしようか。

少しだけ怖い話。

今から五年前ぐらいの事なんだけど、俺は親友と一緒に遊んでたんだ。

で、やっぱ若いから遊んでたら普通に夜中になってね。

帰る時はもう三時を回っていたよ。

二人で色々話してて、テンションが高かったな。

その矢先だったよ。

一瞬だったんだ。ドスって重たい音とブレーキの音。

わかる?

凄い衝撃がきたんだよ。

何か物体が前方数メートルに飛んでいった。

俺は助手席に座ってて、親友が運転していたんだよ。

親友の顔がみるみるうちに青ざめてた。

すぐにわかったよ。

【人を轢いてしまった】って。

俺は反射的に車から降りて、倒れている人間の元に駆け寄った。

辺り一面血の海だった。

親友の愛車にも血がついてて、ライトなんか壊れて欠片が辺りに散らばってた。

親友の車の壊れたヘッドライトが倒れてる人を照らした時、俺は息を呑んだ。

足から骨が出てたし変な方向に曲がってた。

頭から血が溢れ、もう顔が血まみれだった。

即死だった。息してなかったんだよ、倒れている人は。

それもそうだろう。

俺達の車は百キロ以上出してたから。

夜中だと車もなくて、つい、親友もスピードをだしていたんだ。

親友が車の中でがくがく震えていた。

正直、俺の頭に【逃げる】って単語が思い浮かんだ。

けど、例え逃げてもこんだけ車の部品が落ちてれば捕まるだろう。

日本の警察はひき逃げを捕まえるのが世界で一番の検挙率だしね。

【死体を隠す】って事も考えたけど、道路は血の海。

隠しても絶対ひき逃げがあったってわかる。それに車の部品。

俺は車に戻った。親友に【警察に連絡しよう】って言う為に。

「どどどど、どうしよぅ…お、俺…」

アイツは泣いてた。俺が車に戻ってきた瞬間、凄い勢いで俺に問い詰めてきた。

その時のアイツは、本当に怖かった。

微かな希望にすがっている人間ってのは何事にも必死なんだよ。

アイツの顔は別人と化してた。

「どうだった!?生きてた?!!」

俺はアイツに気おされ、言葉に詰まった。ただ、首を横に振るしか出来なかった。

「あぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

アイツはそう叫び、頭を抱えた。

俺はアイツを落ち着かせるため、優しく声をかけた。

「警察に連絡しよう。俺が電話してやる」

アイツは俺の話を聞いているのかどうかわからなかった。

ただ、静かに泣いてた。

俺が連絡した数分、警察が来て遺体を運んだり、現場検証したり、俺も事情聴取されたり大変だった。

え?その親友はどうなったって?

ちゃんと社会復帰してるよ。でも、車はもう運転してないみたいだよ。

そりゃあ腕がないからね。事故で切断したらしいよ。

その事件以来アイツとは連絡とってない。

アイツももう思い出したくないだろうし。

あの人轢いた瞬間の衝撃と音。

人がさ、ゴミみたいに軽く飛んじゃうんだよ。

一体、アイツはハンドルからどんな衝撃が伝わってきたのかな。

俺は残念ながら助手席だったからわからないけど大体想像付く。

でも、所詮は想像。いつだって本物にかないっこない。

だから、車運転してる時、人が道路を渡ると轢いてみたくなっちゃうんだよね。

あの時、アイツはこんな風に人轢いて、こう感じたんだ。って。

今は、ちゃんと理性が制しているよ。

けど時々、本当に轢いちゃおうかなって思う。

いつ、人を轢くんだろうね、俺は。

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December / 29 Fri 20:56 ×

「そういえば、昨日面白い事があったんだよ」

そう言って、昨日の出来事をあなたは話し出す。

私はいつもの様に微笑みながら頷き、話を聞く。

あなたの話はとても面白い。私はあなたの話を聞くのが好きなの。

あなたの傍にいるだけで私はとても楽しいのよ。

あなたは私の事をどう思っているのかしら?

無口な女?聞き上手な女?私にはわからないわ。

けれど、あなたが私の事を好きなのは私でもわかるわ。

あなたが無邪気に笑顔を私に向けていると、とても罪悪感を感じるのよ。

私はね、とても汚くて醜い女なの。

あなたは「そんなことはない」って否定すると思うけど。

本当はあなたの傍には、いてはいけない存在なの。

あなたはそんな私に気づいていないのでしょう。

まぁ、私が演技上手のせいなのかもしれないけれど。

あなたの瞳と違って、私の瞳は濁っているの。

それはもう死んだ魚のような。

あなたと私は生きる世界が違かったせいかもしれないわね。

あなたは美しいものばかり見てきて、汚いものは隠されながら生きてきた。

私は美しいものと汚いものを同じぐらい見て生きてきたわ。

あなたのように瞳が輝いていたのは、何時の事だったかしら?

遠い昔のように思える。

私は、純粋な瞳を私に向け、色々話してくれるあなたが好きよ。

あなたは自分の矛盾にさえ気づいていない馬鹿な人だけどね。

あなたは本当に馬鹿な人。愚かな人。

矛盾に気づかず、無知で純粋なあなた。私は心の奥であなたを嘲笑っているの。

あなたの事を馬鹿だと思いながらね。

けれど純粋なあなたは何も気づかず私に微笑みかけるの。

私はあなたの事が好きよ。馬鹿で無知で純粋なあなたが。

これからも私はあなたの傍にいたい。

あなたの話を色々聞きたいわ。

「それでどうなったの?」

「うん、ここでアイツがーーー」

あなたは嬉々として、話を続ける。私の笑顔を純粋だと思いながら。

いつかあなたの瞳も濁るのだろうか。

もし濁るなら、私の目の前で濁って欲しいわ。

一体どのように、この輝きがなくなるのか見てみたい。

けれど、もう二度と今のあなたに会えないと思うと私は寂しくなった。

December / 29 Fri 20:51 ×

僕は貴方を愛してる。

貴方のその【青白い肌】を。

血の気がある肌は嫌いだよ。生暖かくて気持ち悪い。

僕は貴方を愛してる。

貴方のその虚ろな【濁った瞳】を。

澄んだ瞳は嫌いだよ。何もかも見透かすような瞳なんて。

僕は貴方を愛してる。

【沈黙】を守る貴方の唇を。

お喋りな唇は嫌いだよ。うるさすぎてたまったものじゃない。

僕は貴方を愛してる。

僕に触れようとしない【貴方の手】を。

馴れ馴れしく僕に触る人は嫌いだよ。汚らしい手で触れないで。

僕は貴方の肌を慈しみ、つくづく思う。

貴方は【本当】に美しい。

貴方は常に無言だし、僕に触れようともしない。

僕が触れても反応せず、ただ宙を仰ぐ。

皮膚は常に冷たく、とても心地いい感触。

この暗い部屋で貴方と二人っきり。僕は【幸せ】なんだよ。

貴方に口付けた時、貴方の【腐臭】に気づいた。

もう、貴方はダメみたいだね。僕とは【さよなら】だ。

今夜は新しい【貴方】を探しに行こう。

December / 29 Fri 20:49 ×

僕は朝が嫌いだった。

朝は一日の始まりで、まさに僕にとっては悪夢の始まりだった。

でもね、今はとっても心地いい。朝が来るのがこんなに楽しいなんて。

母さんが僕のために、ご飯を作っている。

綺麗だった母さんは、やつれ、目の下のクマは酷く、髪はぼさぼさで以前の面影がない。

あんなに美しかったのに、今はただの醜い女だ。

僕は椅子に座って母さんを眺めた。

前まで僕は椅子に座ることを許されず、ただ、母さんの足元に這いつくばっていた。

母さんが僕のために、ご飯を作ってくれたこともない。

ご飯の代わりに汚物を食べさせられたり、洗剤入りの水を飲まされたり、ごみを食べさせられただけだ。

洗剤入りの水を飲んだ時、僕は危うく死にかけた。

今となっては良い思い出だ。もう二度とそんな事できないだろうね。

ごみを食べたときは、お腹を壊したな。下痢が止まらなくて、母さんに殴られ、歯が折れた。

そうそう、母さんはよく僕を殴った。酷いときには、灰皿受けで殴るから僕は頭から血を流した。

こういう時に限って、母さんは僕を手当てするんだよ。殺さないように。

タバコの火もよく僕に押し付けた。今だ痕は消えないし、ライターの火で焼いた僕の腕の痕なんて酷いよ。

母さんは僕にいつも、ボロボロの服を着せてた。

おかげで、学校でいじめにあった。母さんはそれを知ってて、わざと着せてたんだ。

僕がどんなに恥ずかしかったか、母さん、わかる?

母さんはいつだって、綺麗な服を着て、きらきら光るアクセサリーを付けてた。

でもね、今はお風呂も入れてくれるし、綺麗な洋服を着せてくれる。

母さんが辛かったのはわかるよ。父さんが愛人と一緒に家を出ちゃったもんね。

だから、僕に沢山酷いことしたんでしょ?

母さん、僕は別に母さんのこと恨んでないよ?

苦しんでる母さんを見て、僕は十分楽しいんだから。

僕のこと、世間に知られたくないもんね。

母さんが、ご飯を作り終わり、持ってきた。

ご飯はカレーライスだ。僕にとってはご馳走だ。

前まで、母さんは作ってくれなかったんだから。

でもね、母さん。僕は食べないよ。

「ほら、食べなさい。美味しそうでしょ?」

か細い声で母さんは、僕に言った。そして、スプーンでカレーをすくい僕の口に運ぶ。

けれど、僕の口は堅く閉ざされたままだ。

「お願いだから、元に戻って、ねっ?」

母さんは痺れを切らしたのか、乱暴に僕の口をこじ開ける。

やめてよ、母さん。ほら、顎がとれちゃったじゃん。

母さんは、それを見て悲鳴をあげ、僕に謝る。

だから食べないって言ってるじゃん。あとでちゃんと付けてよね?

僕はもう死んでるんだから。

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